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"Idle Talking About My Interesting things"
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2009/7/16th(木)にエンタープライズ・クラウドフォーラムというイベントに参加してきた。

残念ながら真新しい発見というものはなかったが(そんな機会がそこら中に転がっているわけではない)、
クラウドコンピューティングについて自身の考えをまとめるいい機会となった。

以下にクラウドに関する覚書のようなものを記そうと思う。



-注意点
徐々にクラウドコンピューティングという言葉を単体で使うのが危うくなってきている。
最近では、通常のクラウドであるパブリッククラウドに対する、プライベートクラウドの影が色濃くなりつつあるので、クラウドコンピューティングについて語る場合はどちらについての話であるのかを明確にする必要性が高まってきている。
本文では、クラウド(コンピューティング)と言えば両者を指し、それ以外では各々を表現している。

-フォーラムについての感想
エンタープライズ向けということで、1ユーザ兼1研究者の立場である小生にとって、どのようなメリットがあるのか行く前にはよく分からなかったが(大体このような場に出席すること自体殆ど初めてである)、クラウドのベンダー以外の公演については非常に満足のいくものであった。
クラウドというキャッチーな表現の裏に見え隠れするクラウド環境を使うことのメリットを的確に言葉とデータで表し、一方で確かに存在するクラウドコンピューティングの盲点について中立的な立場から批評を加えていたように思う。

ただ残念なことに、クラウド・ベンダーの公演というものがセールストーキングに終始しており、その内容からはクラウドという言葉のキャッチーさ以外が何も伝わってこなかった(第一中立性が全くない。まあ仕方ないのか)。これはクラウドという言葉をあえて使うことの弊害と言えるかもしれない。

-クラウドコンピューティングのメリット・デメリット
・まずパブリッククラウドについて。
1 初期のまとまった投資がいらず、従来と比較して導入が安価・用意に行える。
2 莫大な数のサーバによる並列分散処理により処理能力の上限が事実上ない。
・ローカル環境では決して扱い得なかったようなアプリケーションが300万台のサーバで容易に実行できる
・一日だけサーバの数を10倍にする、ということが*ユーティリティコンピューティングの概念で実行できる
3 アクセス透過性。でもこれはパブリッククラウドならではのメリットではないかも。重要だけど。
デメリットとしては、セキュリティ、特に心理的セキュリティ(信頼性)について懸念が残る。これは例えば、レガシーのような基幹系システムにパブリッククラウドを使えるかという話に帰着する。このときよく引き合いに出されるのは「昔は企業は自社内に発電所を持っていたが、今はそんなする企業はいない」という話だが、これも相まってプライベートクラウドという概念が活きてくる。

・プライベートクラウドについて
ここでは特にプライベートクラウドが従来の社内情報システムとどう違うのかという話はしない。重要なのは、プライベートクラウドの必要性だ。
パブリッククラウドが従来システムと比べて可用性・信頼性に劣るかというと、一概にそうとは言えないのは確かだ。しかし重要なのはユーザが心理的にそこに踏み切れるかどうかであり、心理的課題というのはある意味で氷がじんわり溶けていくような解決の仕方が一般的であるので、差し迫った問題としてプライベートクラウドが必要であることは疑いの余地はない。
屡、パブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらにすべきか、という議論を聞くが、今回早稲田の丸山不二夫先生が仰られていたように「最も現実的な解は両者の共存である」というのは全面的に小生も頷ける意見である。
ちなみに現時点における、パブリッククラウドに対するプライベートクラウドのメリットを挙げるとすると
1 心理的安心を得られること
2 性能を自由に決められること
3 移植容易性
つまりは、システム・コントロールのイニシアティブを自分たちが握れることのメリットそのままであると思って差し支えない。

主観的な表現だが、クラウドコンピューティングという言葉の響きには、社会に跨ってぴんと張られた糸のようなところがあり、それを何も考えずに乱用することには、それをぷつりと切ってしまうような、そういった怖さがある。
ただ敢えて新しい言葉を使うことには、そのリスキーさを許容するだけのメリットがあることは否めないので、それを受容した上でクラウドのついての1研究者の立場を貫いていこうと思う。

最後に、Googleのデータセンターについての少し面白い話を、フォーラムで日経コンピュータの中田さんがしておられたが、その内容がこのサイトに載っている。Googleらしいエピソードで興味をそそる。

*ユーティリティコンピューティングとは: 情報システムをガスや電気のように従量課金制でサーヴするという考え。
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Hamhei HORIUCHI
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趣味:
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自己紹介:
貴方が本を読み続ける限り、貴方は取るに足りない紙屑の存在に幻滅し続けるだろう。
Blogもそれと同じで、その殆どは読んだ人間に対して何も学ばせることの無い、全く意味を為さない落書きみたいな内容だ.

一方,文章を書くという行為は、主体に対して幾許かの成長を約束する.退化はあり得ない.
その一例として、物事を体系化する手順を学習することができたり,自己理解が促進されたり,さらには新鮮な驚きと発見が内から魔法のように引き出されることもある.

最後に、我々の価値観が互いを許容でき,かつ刺激し合う程度に『違って』いますように.
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